今日は絶対ミスしない技術という話をします。
最初に、私が「ある行動」を怠ったことで生じた、ちょっとしたミスの逸話をします。
先日、出張で札幌に行きました。
ホテルの近くにある寿司店に、立ち寄ったのです。
ちょうど1年前にも同じお店に行ったのですが、どんなお店だったか覚えていませんでした。
それほど悪い記憶はなかったので、また同じお店に立ち寄ったのです。
しかし味はそこそこというか、あまり美味しくはなかったのです。
値段が予想していたものより、倍くらい高くて「そういえば、頼んでもいないお通しも出てたな」などと思いました。
さらにびっくりしたのが、寿司屋なのに「喫煙可能店」と書いてあるのです。
カウンターにも灰皿が置いてありました。
その時は、見渡す限りタバコを吸ってる人はいなかったのですが、寿司屋というのは、匂いがついてしまうと味が落ちますから、普通はタバコなどは吸えないものなのですが、「喫煙可能店」というのは、
「少しコロナで色々工夫したつもりが、悪い方向に行ってしまったのかな」と思いました。
1年前どうだったのかというのは、よく覚えていなかったです。
記憶を頭に頼りすぎない
人間というのは、記憶がどうしても曖昧になってしまうのです。
何か嫌なことがあったとしても、忘れてしまいます。
「喉元過ぎれば熱さ忘れる」ではないですが、意外と忘れてしまうのです。
同じミスを繰り返してしまうことがあります。
寿司屋さんを覚えておく程度でしたら、別に失敗しても大したことはないのですが、同じミスをしてしまうと困る事は、たくさんあります。
仕事上のミスなどです。
そこでどうしたらいいかということですが、そのためにはチェックリストが役立ちます。
「忘れてはいけない項目」「ミスしてはいけないような項目」をリストにしておけば、それをチェックしていけば絶対「抜け」がなくなります。
チェックリストを使うだけで、医療ミスが減ったという報告もあります。
チェックリストというのは非常に重要です。
冒頭でお伝えした「ある行動」とは、「チェックリストを記入すること」でした。
今回のお寿司屋さんも、私は早速そのブラックリストに記入しました。
もし来年、札幌に行っても、記録を見返して「ここは、いまいちだったから、やめておこう」ということで、もう行かないと思います。
このように人間は忘れやすい生き物なので、記憶に頼らないようにしましょう。
歳をとって「記憶力が悪くなったから、なんとかしたい」とおっしゃる方がいるのですが、元来、記憶に頼らない方がいいです。
完璧にミスしないためには、どうしたらいいか
完璧にミスしないためには、どうしたらいいかという話をします。
心臓カテーテルのチーフをやっていた時の事例なのですが、よく起こるミスがありました。
一般の人が聞くと「そんなにも医療現場でミスがあるのか」と、驚かれるかもしれませんが、実際あったのです。
「ヘパリン」という血を固まりにくくする薬を、検査や治療の時に使います。
血管の中に注入するのですが、この量が問題になります。
だいたい体重を目安にして、投与量を決めないといけないのですが、きちんとチェックしないといけません。
例えば、ヘパリンの基準が3000単位ですが、同じ3000単位でも、体重30キロの小柄なおばあさんと、体重100キロある太った男性では、効き具合が全然違います。
ですから、状況に応じて投与量をを変えないといけないのですが、うっかりしてしまうようなミスが起きていたのです。
もちろん、そんなに頻繁ではないのですが、それをどう解決したかというと、方法はダブルチェックです。
ヘパリンの効き具合に影響する要素としては、投与量と、体重と、相互作用といって、ヘパリンの効きを強くするような、他の薬の影響があるかどうかです。
例えば「ワーファリン」という薬があるのですが、これも血を固まりにくくする薬です。
これを飲んでいる人は、ヘパリンを使うと効きが強くなってしまうのです。
この2つの薬の使い方を気をつける必要があります。
PT-INRという指標があるのですが、ワーファリンという薬を飲むと、この値が変化します。
患者さんの体重とPT-INRの指標を、あらかじめナースにをチェックしておいてもらい、ドクターもあらかじめチェックするようにして、検査や治療を始める前に確認するという作業を徹底したのです。
「必ず確認する」ということにしました。
そうすると、その場でこの2つの数値を確認すれば、ミスが起きることがなくなるのです。
「体重」と「INRの値」に応じて投与量を決めればいいということで、この仕組みを導入した結果、ミスが全くなくなりました。
ミスしないために大事なこと
ミスを二度と起こさないために、大事なポイントがあります。
ミスしないためには、ミスした人に対して「気をつけなくては、ダメではないか」と言ったりしがちなのです。
しかし、ミスする人は、気をつけているつもりでも、ミスしてしまいます。
気合や根性論的な話は良くありません。
「ミスが起きないような仕組みづくり」が重要なのです。
ダブルチェックなど、技術を使えばミスというのは起きなくなるので、そういう仕組みづくりが重要になります。
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